ダマスクローズが咲くころに—モロッコの薔薇と、香りの選択

モロッコのスキンケアブランド『アルガニエ』の紙袋と、咲いたばかりのフレッシュなダマスクローズ


今年も、ダマスクローズが開花する季節がやってきました。
モロッコの初夏の訪れを告げるように、4月末から5月初旬のわずかな間だけ、その姿を現します。


ロサ・ダマスケナという品種

南東モロッコ、サハラ砂漠の入口に広がるケラア・メグナ(Kalaat M’Gouna)。
バラの谷と呼ばれるこの地では、ロサ・ダマスケナ(Rosa × damascena)という一季咲きのダマスクローズが年に一度、短くも鮮やかに咲き誇ります。

ヨーロッパには年に二度咲く「キャトルセゾン(Quatre Saisons)」という品種も存在しますが、アルガニエが選んだのは、一度きりの開花にすべてをかける、このロサ・ダマスケナ。
限られた時間の中でしか咲かないその花にこそ、香りに込められた意味が深く宿ります。


香りの輪郭、その透明な美しさ

この地で採れるダマスクローズは、一般的なローズの甘く濃厚な香りとは異なり、どこかすっきりとした印象を湛えています。

凛とした透明感と、わずかな甘さ。その香りの本質を形づくっているのは、ゲラニオール、シトロネロール、ネロール、そして微量のシトロネラールなど、天然の芳香成分たちです。

結果として生まれるのは、涼やかで清潔感のある香調。甘さに寄りかからず、それでも深く心を満たすような、男性にも好まれる中性的な静けさをもったローズの香りです。

私自身、このローズウォーターに初めて触れたとき、それまでの甘いローズという固定観念がほどけていくのを感じました。
この研ぎ澄まされた香りこそが、アルガニエの2番目のプロダクトにダマスクローズを選んだ理由のひとつです。

咲く時間は、ほんのひととき。けれど、その香りが肌と記憶に残してくれるものは、季節を越えて寄り添い続けます。

この時期になると私はいつも、その気配を、静かに思い出すのです。

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