OVERVIEW
アルガンオイルには「食用」と「スキンケア用(化粧品用)」の2種類があります。最大の違いは焙煎の有無。食用は種子を焙煎してから搾油し、化粧品用は生のまま低温圧搾します。用途を間違えると肌トラブルの原因になることも。この記事では、成分・香り・色・製法の違いを比較表で整理し、正しい選び方を解説します。
CONTENTS
「アルガンオイル」と検索すると、食用とスキンケア用の2種類が並んでいることに気づくのではないでしょうか。同じアルガンの実から搾られるオイルなのに、なぜ用途が分かれるのか。そして、間違えて使うとどうなるのか。この疑問に、アルガンオイルの産地と製法を知るARGANIE(アルガニエ)の視点からお答えします。
食用とスキンケア用、なぜ2種類あるのか
アルガンオイルとは、モロッコ南西部に自生するアルガンツリーの種子から搾油される植物油です。もともとはモロッコのアマーズィーグ(Amazigh)の人々が食用として作り始めたもの。料理に使われる焙煎オイルを搾る女性たちの手が驚くほど美しかったことから、やがてスキンケアにも転用されるようになったといわれています。
つまり、食用が先で、化粧品用が後から生まれた。この順序を知ると、2種類ある理由が腑に落ちるのではないだろうか。
焙煎がすべてを変える──製法の違い
食用と化粧品用の最大の分岐点は、搾油前に種子を焙煎するかどうかです。
食用アルガンオイルは、種子を焙煎(ロースト)してから搾油します。焙煎によってナッツのような深い香ばしさが引き出され、料理の風味を豊かにする。モロッコではクスクスやタジン鍋の仕上げに数滴垂らすのが伝統的な使い方です。
一方、スキンケア用のアルガンオイルは種子を焙煎せず、生のまま低温で圧搾します。コールドプレスとは、熱を加えずにゆっくりと圧力だけで搾油する製法のこと。熱による成分の変性を防ぎ、ビタミンEやリノール酸といった肌にとって大切な栄養素をそのまま残すことができます。
成分・香り・色を比較する
焙煎の有無によって、同じアルガンの実から生まれるオイルの性質は大きく異なります。以下の比較表で整理します。
| 項目 | 食用(焙煎あり) | スキンケア用(焙煎なし) |
|---|---|---|
| 製法 | 種子を焙煎後に搾油 | 生の種子をコールドプレス |
| 色 | 濃い琥珀色(焙煎による) | 淡い黄金色 |
| 香り | ゴマ油に似た香ばしい香り | ほのかなナッツの香り、またはほぼ無臭 |
| ビタミンE | 焙煎により一部が減少 | 豊富に残存(600〜900mg/kg) |
| 脂肪酸組成 | オレイン酸・リノール酸が主体 | 同様だが熱変性が少ない |
| 不純物除去 | 風味を重視した精製 | 肌への刺激を抑える精製 |
| 用途 | 料理の風味づけ・ドレッシング | スキンケア・ヘアケア |
注目すべきは、ビタミンE(トコフェロール)の含有量です。アルガンオイルに含まれるビタミンEの主成分はガンマ・トコフェロール(全体の約80〜90%)とされており、これはオリーブオイルの数倍にあたるといわれています。しかし焙煎による加熱で、このビタミンEの一部が失われてしまう。スキンケアの観点からは、非焙煎のコールドプレスオイルに軍配が上がるのです。
食用オイルを肌に塗るとどうなるのか
「危険」とまでは言い切れませんが、食用アルガンオイルをスキンケアに使うことは推奨されていません。
その理由は大きく3つあります。
第一に、焙煎による香りの問題です。食用オイルにはゴマ油のような香ばしい香りが残っており、スキンケアには不向きです。顔に塗ったときの使用感が大きく損なわれるでしょう。
第二に、精製工程の違い。化粧品用のアルガンオイルは、肌への刺激を抑えるために不純物を丁寧に取り除く工程を経ています。食用オイルにはこの工程がないため、肌が敏感な方は赤みやかゆみが出る可能性も否定できません。
第三に、品質管理基準そのものが異なるということ。食品衛生法と薬機法では求められる検査項目も管理基準も違います。スキンケアに使うなら、化粧品として製造・管理されたオイルを選ぶのが安心です。
スキンケア用アルガンオイルの選び方
肌に塗るアルガンオイルを選ぶなら、「化粧品」として販売されているコールドプレス製法のものを選んでください。
確認すべきポイントは3つ。
まず、製法がコールドプレス(低温圧搾)であること。熱を加えずに搾油することで、ビタミンEやリノール酸がそのまま保たれます。
次に、鮮度。アルガンオイルは天然のオイルだからこそ、酸化に注意が必要です。私たちアルガニエでは、その年に収穫した実のみを使い、搾油後48時間以内にモロッコから空輸しています。この速度が鮮度を守る。褐色ガラス瓶に充填するのも、光による酸化を防ぐための必然的な選択です。
そして、成分表示が「アルガニアスピノサ核油」のみであること。混ぜものがないピュアオイルかどうかは、ここで判断できます。アルガニエのアルガンオイルは100%ピュア。開封後は3ヶ月以内に使い切ることをおすすめしています。
食用と化粧品用──同じアルガンの実から生まれるオイルでも、焙煎の有無で性質はまったく変わります。料理には焙煎の香ばしさを。肌には、栄養をそのまま閉じ込めたコールドプレスオイルを。正しく選び分けることが、アルガンオイルの恵みを最大限に引き出す第一歩です。
よくある質問
Q. 食用アルガンオイルとスキンケア用の最大の違いは何ですか?
A. 最大の違いは搾油前の焙煎の有無です。食用は種子を焙煎してから搾油するため香ばしい風味が生まれますが、ビタミンEなどの栄養素は一部失われます。スキンケア用は生の種子をコールドプレス(低温圧搾)し、肌に有用な成分をそのまま残しています。
Q. 食用アルガンオイルを肌に塗っても大丈夫ですか?
A. 推奨されていません。食用オイルは風味を重視した精製工程のため、肌への刺激を抑える不純物除去が十分ではない場合があります。また食品衛生法と薬機法では品質管理基準が異なるため、スキンケアには化粧品として製造・管理されたオイルを選んでください。
Q. スキンケア用アルガンオイルを料理に使えますか?
A. 化粧品用のアルガンオイルは食用としての製造・検査基準を満たしていないため、料理への使用は避けてください。食用には食用として販売されている焙煎タイプのアルガンオイルをお使いください。
Q. コールドプレス製法とは何ですか?
A. コールドプレスとは、熱を加えずに圧力だけで油を搾り出す製法です。低温で処理するためビタミンE(トコフェロール)やリノール酸などの有用成分が熱変性せずに残ります。スキンケア用アルガンオイルの品質を左右する重要な製法です。