ダマスクローズとローズウォーターの歴史・シルクロードとの関係

ダマスクローズとローズウォーターの歴史とシルクロードとの関係

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ローズウォーターは、バラの精油を製造する過程で花びらを蒸留して作られる副産物です。古代ローマ人はこれを香りとして最初に使用し、香水や美容、医療目的にも活用したと言われています。特にモロッコ産のダマスクローズ(Rosa x damascena)は、そのすっきりとした香りと、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、老化防止作用を兼ね備えた保湿剤としてモロッコで古くから愛されてきました。


ダマスクローズの起源とシルクロードを通じた伝播

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ダマスクローズは、Remontant gen(繰り返し咲く)性質を持つバラです。この性質は、Rosa chinensis(チャイナローズ)、Rosa rugosa(ハマナス)、ダマスクローズの遺伝子に含まれる、Rosa fedtschenkoana(ロサ フェドチェンコアナ)の3つのバラ種に見られ、これらは中央アジアや東アジアに分布しています。

シルクロードが果たした役割

紀元前3500年頃、中央アジアのアムダリア川流域を起源とするダマスクローズは、シルクロードを通じて西方へと伝わりました。シルクロードは、中央アジア、ペルシャ、トルコ、中東を経由し、最終的にローマへとつながる重要な交易路でした。このルートを通じて、バラやローズウォーターの製造技術が広がったのです。

古典文学者(Columnella、Dioscorides、Pliny、Theophrastus、Virgil)の記録によると、紀元前300年にはローマでダマスクローズが栽培されていました。彼らはこのバラを「パエストゥムのバラ」や「ビフェリーク・ロザリア・パエスティ」と呼び、繰り返し咲く特徴を高く評価していました。

シルクロードの重要な中継点

  • ペルシャ(現在のイラン): 香水や医療にバラが使われ、ローズウォーターの製造が盛んに行われました。
  • トルコとシリア: 十字軍遠征を経て、13世紀にはダマスクローズが西ヨーロッパにもたらされました。
  • モロッコ: フランスの植民地時代に調香師がバラを持ち込み、現在ではダデス渓谷が主要な産地となっています。

十字軍とダマスクローズのヨーロッパへの普及

十字軍が中東に遠征した際、ダマスクローズをヨーロッパへ持ち帰ったとされています。ダマスカス(シリアの首都)は十字軍の重要な同盟都市であり、ダマスクローズの名前もこの地名に由来します。当時、バラは香水や医薬品として広く利用されていました。

その後、ブルガリアやモロッコでダマスクローズの栽培が本格化し、現代に至るまで世界最高品質のローズウォーターが生産されています。

ブルガリアとモロッコにおける栽培

現在、ダマスクローズの主要産地は以下の通りです:

  • ブルガリア: 「バラの谷」で有名なカザンリク地方で、Rosa damascena trigintipetalaが香料用として栽培されています。
  • モロッコ: 南部のケラート・ムグナで毎年バラ祭りが開催され、伝統的な蒸留法でローズウォーターが生産されています。

まとめ

ダマスクローズとローズウォーターは、シルクロードを通じて広がった歴史的・文化的な背景を持っています。古代ローマから中東、そしてモロッコやブルガリアへと受け継がれたバラの栽培と香水文化は、現代でも私たちの美容と健康に役立っています。シルクロードの交易がもたらしたこの美しい伝統を、ぜひ日常のスキンケアに取り入れてみてください。

 

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